リシャール・コラス著 『波 – 蒼佑、17歳のあの日からの物語』より

松本百合子翻訳

高校2年生の蒼佑は両親、祖父母、96歳の曾祖母とともに気仙沼に暮らしている。姉の香菜子は市役所で防災無線のアナウンスの担当者だ。昭和8年に三陸地震が起きた3月3日がくると毎年、夕食後に、地震を経験したキクばあちゃんの話を聞くのが一家のならわしだった。
3月11日は蒼佑の17回目の誕生日。初めての恋に浮かれる蒼佑は付き合い始めたばかりの葵に明日こそ勇気を振り絞ってキスしようと心に決めてその日を迎えた。しかし突然経験したことのない揺れが足もとから蒼佑の運命に襲いかかってきた。
過去がなくなっても未来はあるのか?


2011年3月11日 -『波』

それは、蒼佑のすべてを奪っていった。家族も、初恋も、ふるさとも。
絶望の真っただ中に放り出されて途方にくれる蒼佑の前に突然、見知らぬ青年が現れる。
『過去』を失ったものにも『未来』はあるのか?
 そして、人の絆とは?
家族、恋人、友人、日々を暮らした家、思い出の品、そして町もが…
何もかのが津波によって流された。津波を境に全てが覆された。
明日を創る踏み台、積み重ねて来た昨日までの全てが突如消えてしまった。
消えた過去、失われた愛する者たち、見えない未来…

演出/振り付け/脚本:岡田小夜里