『流血の伯爵夫人』エリザベート・バートリーの半生
「残酷さの中には、死刑執行人が万一の場合耐えなければならない、そして、彼自身が従属する一種の最上決定論がある。」アントナン・アルトー『残酷に関する手記』
ジル・ド・レイのように、エリザベート・バートリーは、その残虐さ故にその名を知られる。ハンガリー、ナダスティー伯爵の未亡人である彼女は、若さと肌の白さを保つため、快楽のために600人以上の若い娘たちを殺害した。この物語は、その裁判が人々の好奇の的となった、16世紀に起きた実際の事実を基としている、退屈と苦痛に気狂いした孤独な女性の物語。その苦痛を鎮めることが出来なければそれは暴力に変わる… エリザベートは、陰鬱な城に孤独に生き、退屈という苦痛と闘う毎日を暮らす。しかしある時、唯一の逃げ場を見つけることとなる:それは、自分の美しさ。それ以来、自分自身の様相への自己愛から、美しさが失われるということへの不安を生む。若い女性の流血の生け贄によって、その衰えを阻もうとした。彼女たちの血が、美しさを壊す時の流れを止めてくれる。
破壊と暴力に、苦悩のはけ口を見つけた。浄化のように行われた残酷行為は、彼女をもう取り返しのつかない永遠のけがれへと陥れて行く。赤く燃えたぎる鉄に焼かれた傷跡のように…
演出/振り付け:岡田小夜里
脚本:ヴァニナ・ルシアニ